胃がん
共催:神奈川胃癌ネッツ/神奈川標準的がん治療開発支援システム
14:00~14:05 イントロダクション
神奈川胃癌ネッツと神奈川標準的がん治療開発支援システムは、これまでもキャンサーネットジャパンと共催で「もっと知ってほしい胃がんのこと」と題してセミナーを開催してまいりました。
今回はAKIBA Cancer Forum 2015内で、胃がんの患者さんへ向けた最新の情報を、4名の専門医より余すことなく分かりやすくお伝えいたします。また、ギャラりー3では『手術体験キッズセミナー』『大人だって体験したい!医療機器展示』も共催開催いたします。夏休みに親子で楽しみながら学んでいただく機会になれば幸いです。
円谷 彰(つぶらや あきら)
横浜市立大学附属市民総合医療センター
1983年北大医学部卒、横浜市大第一外科入局。国内外のがんセンター等での研修や研究を経て、2006年より神奈川県立がんセンター、2014年より現職。胃癌を中心に診療と臨床試験の研究代表等を、日本胃癌学会ではガイドライン作成や規約委員を務める。外科医のノンテクニカルスキル(NOTSS)向上プロジェクトも国際協同で行い、集学的な標準治療の確立と、患者安全の向上を目指している。
14:05~14:25 胃がんの予防
胃がんにならないための『はじめの第一歩』
胃がんのほとんどはヘリコバクター・ピロリ菌(HP)陽性であることが知られている。またピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、などの原因であることも解明されている。従ってご自分がHP陽性であるか否かを知ることと、陽性であった場合に除菌治療をしておくことは、将来胃の病気にならないためにも、健康な胃を維持していくうえでもとても大切です。
木村 正之(きむら まさゆき)
医療法人敬歯会けいあいクリニック
1982年聖マリアンナ医科大学医学部卒、同大第一外科入局。1989年同大学大学院医学研究科卒 (博士号取得)。2001年同大消化器外科講師。2007年聖ヨゼフ病院外科部長。2010年けいあいクリニック副院長。病院では主に胃がんの集学的治療(手術療法・化学療法・免疫療法など)を中心に活動。2010年日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医を取得。クリニックでは地域住民の健康な胃を守るため、また胃がん撲滅をめざしピロリ菌の診断および除菌治療を積極的におこなっている。
14:25~14:50 胃癌手術
最新の外科治療
胃がんの外科治療は、日本が世界をリードする形で進んできました。近年、体に優しく術後の回復が早いということで社会に浸透してきた腹腔鏡下胃切除も、本邦で1991年に導入されています。最近では、幽門側胃切除の約4割がこの腹腔鏡で行われているとの報告もあります。新しいと思われていた腹腔鏡手術ですが、近年より多くの利点を持つ最新の手術が開発され、これまで治療をあきらめていた患者さんが治療できたケースもあります。ここでは開腹手術から最新の腹腔鏡手術について解説させていただきます。
福永 哲(ふくなが てつ)
順天堂大学医学部 消化器・低侵襲外科学
1988年琉球大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院で臨床研修後、順天堂大学浦安病院で消化器・呼吸器・乳腺・甲状腺の外科治療に従事。1994年に肺障害の研究のため留学した米国で内視鏡外科に出会う。帰国後に順天堂大学浦安病院外科で腹腔鏡・胸腔鏡手術の導入と開発に取り組む。2004年に旧癌研究会付属病院に胃癌・大腸癌の腹腔鏡手術立ち上げのため移動、がん研有明病院での胃癌手術件数を飛躍的に増加させた。2010年より聖マリアンナ医科大学、消化器・一般外科教授、2015年より順天堂大学医学部、消化器・低侵襲外科教授。消化器がん(胃がん、食道がん)の外科治療に従事。モットー「治るなら体に優しい治療法で」
14:50~15:10 胃がんの術後障害
教科書的な胃癌術後合併症とあまり知られていない合併症
代表的な胃がんの手術後の障害は(1)腸閉塞、(2)ダンピング症候群、(3)輸入脚症候群、(4)貧血、(5)逆流性食道炎、残胃炎、(6)骨障害、(7)胃手術後胆石症、(8)小胃症状で、これらについて説明し、更に、あまり知られていない、われわれの施設で診ている脂溶性ビタミンの合併症について説明します。
利野 靖(りの やすし)
横浜市立大学附属病院
横浜市立大学外科治療学准教授、横浜市立大学一般外科部長。昭和60年横浜市立大学医学部卒業。平成19年より横浜市立大学附属病院一般外科部長兼外科治療学准教授。現在の活動は日本外科学会・日本消化器外科学会(評議員・指導医・専門医)日本内視鏡外科学会(評議員・技術認定医(消化器・一般外科))、日本胃癌学会(評議員)等。AMED(旧文部科学省)次世代がん研究シーズ戦略的育成プログラムでの同一胃癌症例の原発組織、非癌部粘膜、血液、腹水を用いた胃癌の治療・再発についての研究代表者。
15:10~15:35 胃癌に対する化学療法
Stage II/IIIに対する補助化学療法と、Stage IVに対する化学療法
Stage II/IIIに対しては、除術補助化学療法としてS-1を1年間内服する治療が標準である。Stage IVでは、まずHER2検査を行う。HER2陰性では、一次化学療法として、S-1/シスプラチンが推奨度1、S-1/オキサリプラチン、もしくはカペシタビン/シスプラチンまたはオキサリプラチン、S-1/ドセタキセルが推奨度2となる。HER2陽性胃癌では、カペシタビン/シスプラチン/トラスツマブが推奨度1となる。二次化学療法としては、パクリタキセル/ラムシルマブが有用である。
吉川 貴己(よしかわ たかき)
神奈川県立がんセンター
神奈川県立がんセンター消化器外科部長。平成元年横浜市立大学医学部卒。平成5年スウェーデン国ヨーテボリ大学留学。平成7年横浜市立大学大学院医学研究科卒。平成24年より神奈川県立がんセンターより現職、横浜市立大学医学部臨床教授。日本外科学会専門医・指導医・評議員、日本消化器外科学会専門医・指導医・評議員、日本内視鏡外科学会技術認定医(胃)・評議員、日本胃癌学会評議員、JCOGプロトコール審査委員会副委員長ほか。
15:35~15:50 Q&Aディスカッション
来場者の皆さまからのご質問へ回答いたします。質問票を会場で配布いたしますので、ご記載後スタッフへお渡しください。なお、セカンドオピニオンの場ではございませんので、個人的な質問には応じることができません。また、限られた短い時間で、すべての質問へお答えできるとは限りませんので、ご了承下さい。
登壇者:円谷 彰・木村 正之・福永 哲・利野 靖・吉川 貴己