クロージング
これからのがん医療を考える
我が国の死因のトップは相変わらず「がん」であり、日本人が克服すべき社会的課題の1つである。最近、年齢調整罹患率は横ばいから低下に転じたほか、年齢調整死亡率は着実に低下しており、がんの予防や検診の啓発、治療法の進歩によるものと考えられる。とりわけ、がん薬物療法の進歩は目覚ましく、より精度が高いがん医療の提供が年々可能になってきた。将来は、個別化がん医療が加速し進行がんの治療成績の向上はもとより、新しいがん検診方法の開発につながる可能性がある。このような新しいがん医療を着実に提供するための種々なハードルを克服することも必要である。
講演者
仙台市生まれ。1984年に東北大学医学部を卒業後、仙台厚生病院消化器科に勤務しながら同時に東北大学大学院医学研究科博士課程に進学し1988年に修了。その後、東北大学抗酸菌病研究所臨床癌化学療法研究部門の助手として研究と診療に従事。1992年から米国マサチューセッツ総合病院ならびにハーバード大学に研究員として2年間ボストンに留学。帰国後、東北大学加齢医学研究所癌化学療法研究分野の助手、講師、助教授に昇進し、2003年から同分野(2010年から臨床腫瘍学分野に名称変更)の教授、同時に東北大学病院腫瘍内科・科長に着任。2004年から東北大学病院化学療法センター長、2011年から東北がんプロ統括コーディネーター、2011年から東北大学病院がんセンター長、2012年から東北大学大学院医学系研究科地域がん医療推進センター長、2015年から東北大学病院副病院長、2017年から東北大学病院個別化医療センター長をそれぞれ兼務(現在まで)。 専門は、腫瘍内科学(がん薬物療法専門医)。現在、新規抗がん薬の創薬、がんゲノム医療、がん治療のバイオマーカーの探索ならびに開発研究に取り組む。また、がん医療水準の向上のためにがん医療従事者の養成、市民啓発等の活動を展開している。
司会者
ファミリー・ホスピス株式会社 執行役員・品質管理責任者・がん看護専門看護師 大学病院の緩和ケアチームで活動後、同大学でがん看護専門看護師コースを担当、2020年4月より現職。『街がホスピスになる」を目指しホスピス住宅の運営。NPO法人CNJ理事、NPO法人マギーズ東京理事、ともいき京都にも参加。